膝や股関節と同様に、加齢等により関節の軟骨がすり減って痛みを生じる「変形性関節症」は、肩でも起こります。ただし、肩は通常、体重をかける荷重関節ではありませんから、その頻度は膝、股関節よりも圧倒的に少ないとされています。

この状態でも、痛くなければいいのですが、痛みをこらえながら肩を動かし続けると、肩の関節内に炎症が生じてしまいます。炎症が引き起こす症状として、夜間痛や日中での安静痛があることは、他の病態と同様です。軽い症状の場合、通常はヒアルロン酸や、ステロイドなどの注射で炎症を抑えます。しかし、注射を続けても軟骨が既に摩耗し、骨が変形していることは変わりませんから、効果がないことや、一時効果があってもまた痛くなってしまうこともあります。この場合は、人工肩関節置換術(TSA)が必要になることがあります。

人工肩関節置換術は、この写真のように、上腕骨側は金属に置き換えます。肩甲骨側は少し削って表面をプラスチックに置き換えます。(レントゲンにはプラスチックは写りません。)