肩インピンジメント症候群

肩インピンジメント症候群
前項で述べた腱板ですが、肩の動き自体がスムーズでなければ、断裂を起こしていなくても断裂と似た症状をきたすことがあります。加齢や過剰な負担などにより、肩甲骨周囲の動きが乏しくなると、腱板の通り道が狭くなるポジションを取った時(腕を後ろに回す際など)腱板が挟まれて痛みを生じてしまいます(図1)。これを肩インピンジメント症候群といいます。
五十肩との違いは、関節の動き自体に制限をあまりきたしません。肩甲骨の動きが改善すれば、このようなポジションをとったときに肩甲骨が自動的に逃げてくれるようになり、症状は軽くなりますので、リハビリ又は自主トレなどによる体操で、ここの改善を目指します(図2)。
ただし、何らかの原因(多くは加齢)により、
周囲の骨が増殖して腱板の通り道が狭くなっている人は、骨を削って腱板の通り道を広げる手術が必要になることもあります

             
図1 肩の動きによって、肩峰と上腕骨の間が狭くなりやすい人もいます。場合によっては腱板が切れていなくても挟まれてしまい、腱板断裂と似た症状を起こすこともあります。



図2  体操などによって肩甲帯や胸郭の動きを改善し、腱板が挟まれにくい状況を作っていきます。しかし、それでも改善しない場合は手術が必要となることもあります。