肩甲骨と上腕骨をつないでいる板状の腱を「腱板」といいます(図1)。これが何らかの原因によって切れてしまったものを腱板断裂といいます(図2)。50歳以降に好発しますが、転倒して手や肘をついたり、重いものを持ち上げようとして肩をひねったり、ぶつけたり等、外傷をきっかけとして発症する場合が多いようです。ただ、普段気にも留めないような軽いきっかけで断裂することもありますので、整形外科にかかっていても、五十肩として扱われている場合も多いようです。五十肩と診断され治療を受けていても、改善しないようなら、一度専門医を受診した方が良いでしょう。 症状 腕を上げ下ろしするときや、後ろに回すときの痛み、引っ掛かりが典型的な症状です。また、肘を脇から離しての動作がつらく力が入りにくくなることもあります。その一方、関節が硬くなってしまうようなことは、比較的少ないです。状況によっては、痛みにより夜中に目が覚めてしまったり、日中安静にしていてもズキズキとした痛みに悩まされることもあります。 図1 肩関節の構造。上腕骨と、肩峰という肩甲骨の一部の間に、「腱板」という組織があります。通常は上腕骨を動かすときに、腱板は肩峰の下をスムーズに動きます。 図2 腱板が断裂すると、動かすときに筋肉バランスがとりにくくなるだけでなく、部分的にまくれ上がってしまうことがあります。